リスク 神々への反逆

リスク―神々への反逆

リスク―神々への反逆

これまた勝間本で薦められた一冊。勝間氏の発言やメディアへの過度な露出には一家言あるものの、なんだかんだ言って勝間氏に踊らされている自分がいる。彼女が推薦している本で本棚が埋まっていることは紛れも無い事実。
さてこの本、人類のリスクに対する考え方と対処の仕方について、ギリシア人の時代から現代までどのように発展してきたのかを綴った一冊である。ハードカバーを買って読んだのだが、長いの一言につきる。後半、経済の話に入ると専門外の自分には分からない理論も増えて、正直読むのが辛かった。しかし「正規分布曲線」や「平均への回帰」といった定理をあらためて理解することができ、参考となる部分も多かった。
いつものように付箋を貼った部分をピックアップ。

  • ベルヌーイ「富の微妙な増加から得られる効用は、それ以前にその人が保有していた財の量に反比例する」→子供のころ親から100円貰っただけで狂喜乱舞していたが、今はそうでもない。
  • 今日では、ある結果が全くの偶然に過ぎないというよりは有意であるとする十分な証拠として、ほとんどの統計学者は20分の1という確率を採用している。→5%以上で相関関係ってこと?ちょっとポジティブ過ぎやしないか?
  • 正規分布では、観測値の約68%が全観測値の平均から一標準偏差以内に存在し、95%が二標準偏差以内に存在する。→これは面白い。今まで資料などを作るときに、どれぐらいの確度かの指針が無かったが(しいて言えば平均)、これでより予測値の精度を上げることができそう。(もしくは説得力をあげられそう)
  • 人々は不確実性を嫌悪しているというよりむしろ、損失を嫌悪している。損失は常に利得に比べ、より不気味に大きく現れるものである。→人間が時に合理的行動を行わない理由の一つ。
  • われわれは、情報が合理的意思決定への不可欠な要員であり、情報が多ければ多いほど、直面するリスクをよりよく管理できると思いがちである。ところが、心理学者は、追加的情報が邪魔になり、意思決定を歪め、その結果「不変性の失敗」を誘発し、人々が進んでとろうとするリスクの種類を当局の人間が操作する機会を作ってしまうという状況を報告している。→これも「平均への回帰」が関係している?他人の判断を遅らせるには、とにかく色々な情報を提供し溺れさせればいいってわけか。現代なんかはネット上に情報が溢れているから、結論を先送りする人が増えているのかもね。経営層なんかは、この心理を把握しておかないと「不変性の失敗」に落ちいることになるって訳ね。一定時間熟考→即判断・行動→後腐れ無し、が精神衛生上よろしいかも。