人との距離の置き方が分からない(母の日の独白)

千と千尋の神隠し (通常版) [DVD]

千と千尋の神隠し (通常版) [DVD]

映画「千と千尋の神隠し」で見た、あるシーンが今でも印象に残っている。カオナシが千の気を引こうして、砂金を渡そうとするシーンである。千は砂金を拒むが、カオナシにはその理由が分からず更に多くの砂金を渡そうとする。最終的にカオナシは、千に「あなたには、わたしの欲しいものはだせない」と言われ、彼が喜ぶと思って行った好意を全否定されてしまう。このシーンを始めて見た時、私はカオナシだと思った。相手とのコミュニケーションの仕方が分からず、自分の価値観を相手に押し付けてしまう。しかも、加減が分からず異常な量で。つまり相手との間で価値観や距離感を共有できない。自分もこれに近いことを何度か体験してきた。
この映画においてカオナシは不安と孤独の象徴と取れる。物理的な満足(=この映画における砂金や飲食)では、不安や孤独を充足させることができない、肥大化するだけだ。しかし、千との十分なコミュニケーションの結果、安定を保てるようになった。その理由は?やっぱりここにたどり着いてしまうんだけど「無私の愛情」を受けたか否か、なんだろうなぁ。単純な例で言えば母性愛とか。これが最終的には自立につながるんだろうね。カオナシも千の愛情(?)を受けて、最終的におとなしくなった(銭婆のところで安定した)。
私利の無い愛情を受けることが、果ては個人の自立になる、か。なにはともあれ、自分を個人の力だけで生活することができるまでに育ててくれた母親に感謝。