DVD「スカイクロラ」

押井監督の映画「スカイクロラ」を見た。
※以下、ネタバレ注意!あくまで映画の感想です。小説は未読ですので、間違った解釈があるかもしれません。

スカイ・クロラ [DVD]

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キルドレの閉塞感と空戦の開放感とが対照的だった。永遠に復活しつづけることのできるキルドレの閉塞感の中、永遠に続く日常に果てに一片の希望をもたらす草薙。劇中、彼女を淡々と描き続ける中で、その閉塞感から抜け出そうとする(=抑圧された感情を露呈する)彼女の姿をいくつかのシーンで感じられた。映画のラストで初めて、草薙が永遠の閉塞から抜け出そうと動き出したかのように思えるが、その助走は映画内のそこかしこに散りばめられていた。(戦死したパイロットに哀れむ民間人に対し「同情で辱めるな」と一喝したり)それにしても草薙の状況は不安定だったが、函南の最後の行動が草薙を導いたのだろう。
では、今の自分の人生はどうか?変わり映えのない経済的に安定した道を歩み続け、この安定感に包まれたまま危機感を感じずに死んでいくのだろうか?この映画のラストシーンのように人生について希望を求める為には、自分の人生に対してがっぷり四つに取り組まなければならない。が、そうしなくても生活できる安定した環境(に見える)の中では、無理に取り組まなくても、(正にキルドレにように)刹那的な人生は歩んでいける。ではこの先、どうするべきか?経済的に安定した生活に固執することなく、自分が夢中になれることを追求するべき。客観的な良い子の殻を捨てて、周りに反対されても自分がやりたいことを進める勇気を持つ。
自分が直面している不安定な状態を客観視できる映画でした。