ピータードラッガーのマネジメント論がわかる本

ピーター・ドラッカーの「マネジメント論」がわかる本 (Shuwasystem Business Guide Book)

ピーター・ドラッカーの「マネジメント論」がわかる本 (Shuwasystem Business Guide Book)

最近はドラッガーがブームらしい。先週本屋に行ったら、週間ダイヤモンドがドラッガーを特集してたみたいで一コーナーが出来てた。ドラッガーの著作は以前に「ネクスト・ソサエティ」や「プロフェッショナルの条件」などを読んだが、どちらかというと原則論的な記述が多くて、いまいちしっくりこなかったことを覚えている。(しっくりこないのは、まだ私がその域に達していないだけ=「経験・思考が未成熟」だからですが...)そこでドラッガーの考えを俯瞰できる本書を購入した。参考書やゲームの攻略本ではないが、こういった本は非常に手軽にまとめられていて助かる反面、知識の定着が浅くなってしまい著者(ドラッガー)と正面から向き合う機会を失ってしまう。つまり思考が未成熟なまま知識のみを植えつけることになる。私の場合は本書を読むことで、ドラッガーの断片的な知識をつなぎ合わせることができた。こういう使い方(すでにある程度の知識を持っており、まとめ本によって知識を体系化する)はありだと思うが、個人的にはドラッガー理解に対するファーストステップとしてまとめ本を読むことはおすすめできない。本書を読んで感じたことを以下に記述。

  • ドラッガーが考える「企業の目的」について→ドラッガーは、企業の目的は「社会やコミュニティ、個人のニーズを満たすこと=顧客の創造」であると述べている。そして、利益はそれを実現するために企業を継続して活動させるための「未来へのコスト」であるとしている。私の意見では、一般的に考えられているように、企業の目的は「利益の追求」という面が大いにあるのではないかと思う。資本主義が発明した「個人の欲」が「経済活動の動機」にダイレクトに結びつく社会において、企業活動を活発にさせるのは「利益の追求」なのではないか、と思ってしまう。あ!資本家と企業体ではそれぞれ目的が違うってことか。資本家の目的が「利益の追求」で、企業の目的が「顧客の創造」ってことかねぇ。そのあたりがごっちゃになって企業運営を行ってしまうと、企業として先細りしてしまうのか。なんか少し理解できた気がする。
  • 資本社会から知的社会への変革→これもドラッガーがずっと提唱していること。知的社会の中核をなす知的労働者の特徴としてドラッガーは(1)知識を自分の中心に所有している(2)知識は持ち運び自由である、という2点を挙げている。その為、知的労働者は、専門的な知識を持ったまま、ある組織から別の組織への移動が可能。企業マネージメント層やIT業界では、すでにキャリアアップに伴う転職が盛んであり、知的社会が既に到来している感じはある。しかし日本においては、まだまだ転職に対する様々な整備が遅れている。特に国際競争力のある大企業において、終身雇用制度ありきの企業姿勢・体制を感じる。行政もしかり。このままでは本格的な知的社会が到来した際に、他の国に出遅れてしまうのではないかと懸念する。